.....檳榔樹(びんろうじゅ).....

2004年12月

山崎青樹著・植物染料図鑑より



学名:Areca catechu 
英名:Betel,Palm Tree
やし科
染料店にて購入した実を砕いた物を使用


火にかけるとすぐに紅茶のような赤味の濃い染液が取れる。
煮出し中の香りはまったくないが、その昔は薬用だったということで蒸気も体に良さそうである。


変り織りの帯揚げを染める。
無媒染の色
ピンクがかった静かな色合い。


写真写りが良くないが、帯の縦糸と緯糸を一カセづつ染める。なかなか濃い色にならないが綺麗なサーモンピンク。


......檳榔樹(びんろうじゅ)......

原産地は不明だが、インド、マレーシアを中心に栽培されている常緑喬木で、幹は直立して枝分かれなく、竹のような節があり、高さ25mに達する。果実は.檳榔樹(びんろうじゅ)といわれ、長さ6〜8cmの卵型で、黄赤色に熟す。この熟した実を乾燥させたのもが染料となる。
東南アジア、インド、台湾などでは、この種子に石灰を塗り、2〜3種の香料を加え、ベテルという木の葉に包んで、嗜好品として噛む習慣がある。はじめは苦く、そのあと甘味を感じるらしい。吐き出した唾液は、.檳榔樹の中にある色素の石灰反応で真赤になる。マルコ=ポーロも『東方見聞録』にもこの習慣についての記述がある。
『太平記』巻9に「長絹の御衣に檳榔の裏なしを召され・・・・・」という記述があるので、南北朝時代にはすでに染色に用いられていた。
江戸時代には長崎の出島貿易で大量に檳榔樹が輸入されるようになり、さまざまな方法でさかんに染色に用いられた。
あらかじめ紅や藍で下染めをした布に、五倍子の煎汁とともに引き染めをし、鉄塩で黒く発色させたものは檳榔樹黒、藍下檳榔樹と呼び、黒染めの代表として、黒の紋付や文様染め、漁網などの染色に用いた。
<吉岡幸雄著・自然の色を染める・山崎青樹著・植物染料図鑑・参考>

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